古典新訳とは、著作者の死後50年までという著作権の原則的保護期間が過ぎた古典の名作本を現代風にアレンジされたものです。
戦前に訳された古典は文章が現代的でないために、今の人達には受け入れられずらいというものでした。
そのため文章を現代風に新訳して過去の名作を今の人達に再び読んでもらいたいということでいろいろな出版社から出版されています。
古典の名作ほど古くて難解な既訳が残り続ける傾向があるために、今その名作を古典新訳本という形で出版していこうという動きが出版業界に出ているのです。
古典新訳本は、過去の名作を新たに訳したものだということもあり、内容はすでに折り紙付きの内容となっています。
古典新訳本として出版されているドストエフスキー、ゴーゴリ、シェイクスピア…、どの作家も誰でも一度は耳にしたことのある作家のはず。
そう、古典新訳本として出版されている作家の誰もが、過去に熱狂的な人気をほこった大作家なのです。
つまり、おもしろさは、太鼓判つきというわけ。
また古典新訳本の魅力は、新たに現代風に訳されているということ。戦前に翻訳されていた本ということは、新訳される前の本を日本の本で例えるなら、『万葉集』や福沢諭吉の『学問のすゝめ』などといった有名な本が、現代文として書き直されるということと同じなのです。
今までは「読んでみたいと思って手にしても文が難解で…」と断念した人もこれならばすらすらと読めてしまうのです。
つまり、古典新訳本の最大の魅力は、誰もが知っている有名な本を、古文などを知らなくても読めてしまう、ということなのです。
過去の名作を訳した古典新訳が出版されはじめたのは2006年ごろからで、つまり古典新訳本はまだまだ刊行されていく予定です。
そのため、現在次々と翻訳がなされている真っ最中で、出版会社によっては月に2〜4作品もの古典新訳がなされています。
また古典新訳本のラインナップとして、今後も100冊もの刊行が予定されています。つまり、今がまさに出版の絶頂期と言えるでしょう。
古典新訳本のシリーズも、単純に世界の名作を訳すという考えでなされているのでありません。
21世紀に読まれるべき作品、現代を生きる人々に読んでほしいと思える作品を、どう新訳するか翻訳家と合意したとき、初めて新訳するタイトルが決定されます。
つまり、今の日本でも、十分に受け入れられると思われる作品たちが新しい訳となって、よみがえるのです。
また表紙も現代風にして若者にも受け入れられやすいように工夫がなされ、割とシンプルな表紙が多く見られるのも、この古典新訳本の特徴です。
『リア王』
「ロミオとジュリエット」でも知られる、かの有名なシェイクスピアの「リア王」。
当時の訳で読むにはあまりに難解ですが、古典新訳でならこの「リア王」もすらすらと読むことができます。
古典新訳としてよみがえった「リア王」は、シェイクスピアの4大悲劇といわれる作品の1つとして知られています。
主人公であるリア王には三人の娘がおり、この娘たちに国を与えようと考えます。
ずるがしこし長女と次女の策略で、王は追い出されてしまいます。苦悩の中、父を心から愛する末娘に再会した彼は、国を取り返そうとするが末娘は殺されてしまうという悲劇作品です。
もちろんストーリーもさることながら、シェイクスピアの文章の美しさもすばらしいです。
それを古典新訳ではわかりやすく、元の魅力をそこなわず訳されています。過去の訳を読んで途中で断念した人も、古典新訳でなら大丈夫。
この作品は4大悲劇の中でも最も壮大な構成の作品とされており、古典新訳化を機会にぜひ読んでおきたい作品。
『外套』
もう1つは「外套(がいとう)」というニコライ・ゴーゴリの短編小説の古典新訳。
こちらも古典新訳されたのを機にぜひ読んでおきたい作品。
外套とは現代のコートに当たるもの(旧訳ではここでいきなりつまずきそうだが、古典新訳なら大丈夫)。
下級役人であるアカーキイという人物がコートを修繕しようとし、予想外の収入のおかげで修繕に取り付ける。
その話は役所でも盛り上がったのであったが、その直後アカーキイは外套を奪われてしまう。
警察や街の有力者に外套を取り返してくれるよう頼み込んだが、相手にされないまま病に倒れて亡くなってしまう。
しかしここで話は終わらない。役人の格好をした幽霊が、夜な夜な外套を探して道行く人の外套を奪っていくという噂が流れたのであった。
その幽霊に街の有力者も出会ってしまい、恨みの言葉と共に外套を奪われてしまうというスリルのある作品。
旧訳では、このぞくぞくするスリルが今の読者にはいまひとつ伝わらないのだが、古典新訳ならばきちんとそれも伝わるのです。
古典新訳本でぜひとも!
『カラマーゾフの兄弟』
最後に、フョードル・ドストエフスキーという人物の作品の古典新訳を紹介します。
名前だけなら「罪と罰」の作者としても、誰もが一度は聞いたことがあるはず。
紹介するのは「カラマーゾフの兄弟」。
長編作品で、旧訳では読むのが大変。けれど古典新訳でならば、こちらの本もずっと読みやすいはずです。
主なストーリーは、地主フョードルの殺害、また、その事件をめぐる裁判劇。複雑な構成で宗教、信仰や死、国家と教会、貧困、父子・兄弟関係などさまざまなテーマが込められた思想小説。
「罪と罰」と並ぶドストエフスキーの最高傑作であり、世界の文学の傑作の一つとして高く評価されています。
実に深く、さまざまなことを考えさせられる作品です。
が、古典新訳でないと、現代の読者にはとても読めそうにありません…。
古典新訳された今だから、この作品の深みを味わえるのです。
またこの作品を題材にした映画や劇も、数多く作られています。
古典新訳本をきっかけに、こうした作品を知り、観てみるのもよいのでは?
・カラマーゾフの兄弟の古典新訳版を読みました!
今までの翻訳家のものも、それぞれ楽しんで読んできましたが、確かにこれは読みやすい! 未訳部分の刊行も期待しています!
・私もカラマーゾフの兄弟を読みました。
どうしても名前が覚えづらく読む気がなかなか起きないロシア文学ですが、古典新訳では、しおりに人物紹介もあって読みやすかったです。
先が気になって、続きも買ってしまいました。
・リア王を読みました!
光文社の古典新訳文庫シリーズは、どれもとても力がはいっているように思え、古典に限らず、良い訳本をこれからも期待できます。
・何冊か古典新訳を読みましたが、理解しやすいので一気に読めました。
ただ「シェイクスピアの古典世界」と「新しい文」に、 僕の中で微妙なズレがありました・・・。
ただその分、話はよく理解できました。
古典新訳を読んだ後、「いかにも古典的な訳」で読むともっと面白いかなぁと思いました。



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